かずみさんがいつものように図書館でたくさんの本を借りてきた。その中の一冊をぼくに薦めてくれた。ぼくはさっそく読み始めてみた。

あかね空 (文春文庫)

あかね空 (文春文庫)

たのしい。時間を忘れる。
そこでふと気がついた。ぼくがこの半年に読んでいた本は、紀行文・随筆・対談集・実用書やハウツーものばかりだった。
ああたのしい。 どこがたのしいか。
ストーリーも。だけどもっとたのしくて引かれるのは、情景描写だ。舞台となるのは江戸の町。その風景を描くことばにリズムがある。「風はお愛想がわりに軒先の風鈴をならして過ぎ去った」なんてかんじで暑さを表現する。
せみ時雨の描写も何度か出てくる。音・動き・時間・温度。なんでも自在にことばが伝えてくる。すごいなあ。