y_horigane2006-01-15

御神渡りの写真を撮りに行った。
氷上に出る。大きく持ち上がった氷の横に三脚を立てる。ファインダーをのぞく。そのとき。
「ギ、ギ、ギ、ギー。」
ことばに表現できない重低音。足下の氷がきしむ音だ。
音は、目の前に広がる湖面をどこまでも走った。少し怖い。
自分の力ではどうしようもないという、無力感を抱きつつ、決して不愉快ではない。

星野道夫氏の本で読んだ。
どうにもならない自然の大きさを意識したとき人は謙虚にならざるを得ない。
このたびの大雪もそう。人の力の小ささを思い出させる。

「自然にやさしく」とか「地球にやさしく」とか、そんなことばは今、重みを持たない。
人は自然、地球に生かされているのじゃないか。自分の意志で生きているような気でいるのなら、しっぺがえしは遠くないのじゃないか。
氷の裂け目だけを見ていると恐ろしい。しかし、人を超越した力をその向こうに意識すると、心は落ち着く。神の通った道として諏訪の人々はこれらを畏れ敬っている。